ペット夜間展示規制に考える、人とペットの幸せな関係

いつもお世話になっているNyafe melangeのオーナーや他猫カフェのオーナーの方々が決起して6月1日施行のペット夜間展示規制の見直しを求めるとのことで昨日、環境省中央環境審議会動物愛護部会の傍聴に行ってきました。

このペット夜間展示規制では、深夜のペットの展示販売を禁止されることになっています。
そして以下の引用のとおり、猫カフェに対しては施行後2年間の経過措置が取られることになりました。

ペットの夜間展示の規制(6月1日施行)で、環境省は16日、放し飼いにした猫と触れ合うことのできる喫茶店「猫カフェ」など、ペットが自由に行動できる施設の場合は、展示できる時間を2時間延長し、午後10時まで認める方針を固めた。ただし、十分な睡眠が必要な幼猫(1歳未満)は除外する。施行後2年間の経過措置で、その間にペットへの影響などを把握し、規制のあり方を検証する。
<ペット夜間展示規制>「猫カフェ」は2時間延長…環境省

少なからずも猫カフェに関わらせてもらっている身としては、ひとまずほっとしたというところなのですが、でも私はこんなふうにも思うんです。
猫によかれと夜20時までとしようが今回の経過措置によって22時までとなろうが、好きなときに好きなことをできるようなちゃんとした環境下で管理されている猫たちにとってみれば実はあまり重要な問題ではないかもしれないな、と。
そんなことよりも、ペットとしていかに人間たちと素晴らしい時間を共に過ごせるか。その事のほうがずっと大切なことなんじゃないかなと思うんです。

これまで私なりに様々な環境の多くの猫たちに触れ合う機会がありました。長い間人間と共に過ごし、愛情をもって育てられた猫は、よく見知った人間の側で過ごす時間を好みます。他の猫と過ごす時間よりも人間の側を選ぶようなケースも珍しくない、案外多く見られたりするんです。

猫語を解すわけではないので、直接猫にインタビューはできないから断定はできないけど、たとえば猫カフェで育った猫たちにとってみれば、むしろスタッフや常連のお客さんたちといつでも好きな時間に気ままに遊べるような環境(※ここでいう環境は、当然、適切に管理された環境、すなわち、充分なスペースやセパレートされた退避場所が確保されていることなどが大前提です。)にあることが重要で、あとは充分な食事と眠くなったら安心して眠れる寝床があればペットとして愛玩動物として充分に幸せにあると言えるのかもしれない。

ペットのQoLについての意識の高まりをうけて、今回のケースも含め、この先数年が動物愛護法改正の過渡期となるのでしょう。それらを通してペットとのふれあい方が見直されようとしていることについては大いに結構なことだと思います。本当に。

たとえば、冒頭にあげた規制によって深夜のペットの展示販売が禁止となることなどは実に喜ばしいことだと思います。劣悪な環境で昼夜を問わず店頭販売されている犬猫たち。そのようなお店を見かけるにつけ、ペットを愛するものとして恥ずかしい気持ちさえしていました。

ただし、こんなニュースを目にすると、一方で販売業者だけの問題ではないのかもしれない、とも思います。
つまり買い手(飼い手)にも問題がある。それはこれからペットを飼おうとする者として最低限の知識を持たないことであったり、かわいさのあまり衝動にかられ然るべき確認を怠ってしまうことであったり。

犬や猫のインターネット販売を巡るトラブルが相次いでいる。「購入後すぐ死んだ」「代金を払ったのに届かない」といった苦情は、国民生活センターが統計を取り始めた2006年度以降、昨年度までに約960件に上る。国は年内にも動物愛護法を改正し、対面販売の義務化を盛り込む方向で検討している。
30万の子犬、来た日に衰弱死…ペット通販苦情

もちろん、売り手に対しては、しかるべき規制、つまり月齢の低い子犬や子猫の販売については早急な規制が必要でしょう。
彼らは専門家であるはずですから、当然様々なリスクを熟知した上でそのリスクをきちんと説明し販売する責任がある。
買い手(飼い手)、売り手(譲り渡す側)、双方に求められる倫理観だったり、ペットと触れ合う、扱うということに対してのコンセンサスだったりが、うまく醸成されていってはじめて、ペットとの幸せな関係性が築けている社会になると思うんです。

私は仕事柄いつも飼い主さんとその猫ちゃんの姿をファインダー越しに覗きながら、人とペットとの幸せな関係ってどういうものなのだろうか、どうあるべきなのだろうか、そもそも愛玩動物としてのペットの幸せって何なんだろうか、それは飼い主さんとも共有できるものなのだろうか、そんなことを考えさせられています。

2015年1月17日にパーマリンクを変更したため、それ以前の シェア または いいね! などがリセットされてしまいました……。ポチっとしてくれたみなさま、ごめんなさい :'(

コメントは受け付けていません。